“俺様”大家の王国
「おーい、起きてるかー?」
彼の背中をヨシが叩くと、
「……ぃてーよぅ、ばか………」
文句は口をついて出たものの、やがて拓海は、すうすうと静かな寝息を立て始めた。
「おーい、不貞寝すんなら帰れよー……布団敷けねーだろーがよー」
ヨシは拓海を揺すぶったが、既に彼は酔い潰れて、しかも熟睡モードに入っていた。
ヨシは、テーブルの上を片付けると、しばらく考えた末に、
拓海を引きずって移動させ、キッチンの横に転がした。
「おーい、起きねえと風邪引いちまうぞー……」
ヨシはテーブルを壁に立てかけると、そのスペースにきっちり自分の布団を敷き、潜り込んだ。
「おやすみ~……」
忠告はしても、毛布は貸してやらないヨシだった。