“俺様”大家の王国
普通の人でも、そこまでするのだ。
それほどまでに、おめでたい日なのだ。
そして、世間を賑わすアイドルやスポーツ選手や、ちょっとした有名人の子供の式ともなれば、格好のネタになるだろう。
――ずきん。と、胸が鳴る。
いやな痛みだ。
(……結局、私は問題を先送りにしているだけ……)
学校へ行けば、テストの範囲や、レポートのことや、
今日のお昼は何を食べようかなとか、あ、そのミルクティー新発売? ひと口ちょうだい……なんていうふうに、
忙しさや楽しさに紛れて、不安は忘れられる。
けれども、この部屋にいる限り……
たった一人で自分と向き合う限り、私は何もかもに押し潰されそうになる。
――はじめての恋心にさえ。