“俺様”大家の王国
私は手帳を閉じて胸に抱き、そのままごろりと横になった。
床が冷たい。
フローリングはひんやりと、肌から直接に熱を奪っていく。
そのうち寒さを感じて、体を丸めた。
濡れた髪が、頬にはり付く。
……だめだ。
きちんと布団に入らなければ、風邪をひいてしまう。
髪だってきちんと乾かさなきゃ……。
だけど、それすらも面倒でならなかった。
もう何も考えたくない。異常に眠い。
(……疲れたんだ)
気が付くと、涙が溢れていた。
ホームシックにも似ていた。
どうして私は、逃げなければならないんだろう?
私は、何か悪い事をしたか?
これも、何回も繰り返した問答……。
(考えたくない……)
涙が一筋、耳の中に入った。
(眠い……)
意識が沈んだ。