“俺様”大家の王国
 


ごく自然に浮かんだ疑問をぶつけてみると、彼は私の頭に頬を乗せ、


「理由は三つ……。

まず一つ目の理由として、身分がばれると危険だった……っていうのがあります」


「危険?」


「文字通り、命の危険です。

実家暮らしの時は外出時、必ずボディガードか、それに準ずる人達に警護されてましたから……」
 

まるで、ドラマの中の話だった。


「今は一応、ネットで会議をしたり、たまに取引先に赴いたりもしますが、

基本的には隠遁生活を送っている事になっています。


ですから、社の人間も実家の使用人も、誰もここの住所は知らないはずですし、来てもいけない事になっています……」


「……徹底してますね」


「ええ、でも半端な事をしても、意味ないですからね。


やる時はとことん突き詰めますよ……」


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