“俺様”大家の王国
「……あと、僕を知らない人と、交友関係を広げてみたかったのが、二つ目の理由です」
「もしかして、それでパレスのシステムが誕生したんですか?」
パレスのルールは、変わっている。
家賃を減額して貰う代わりに、住人は何か必ず一つ、仕事をしなければならないのだ。
「ごほん……ええ、まあ。
お陰で毎日が賑やかになりました」
十郎さんは、何か楽しいことを思い出したのか、喉の奥でくくっと笑った。
「……最後の理由は?」
気になったので、急かすように言ってしまった。
しかし、途端に十郎さんの様子が変わる。
一旦私から離れた彼は押し黙り、突如としてそれまでの体操座りを崩して、正座に組み替えた。
しかし毛布が引っ張られて、再びぴったりと体が密着してしまう。
「あの……?」
「最後の、理由は……」