“俺様”大家の王国
これは、ただのプレゼントじゃない。
だってこの指輪は、プラチナだった……。
「――僕と、結婚して下さい……!」
時間が、しんと止まった。
後から聞いた話によると、私はこの時、無表情のまま固まっていたらしい。
「どうして……」
やっとそれだけ言うと、十郎さんが息をのんだのが分かった。
私は普段、指輪なんてしない。
なのに指輪はぴったりで、澄ました様子で、私の指で輝いている。
まるで、『もう、わたしはあなたのものよ』と主張するように。