“俺様”大家の王国



「……と、いうわけです。

色々と屈折してはいますが、こんなような理由から、私はその……


恋とか、男女が仲睦まじくしてるようなものが……駄目になってしまったんです」
 

駄目、というのはかなり譲歩した表現で、実際は本気で忌み嫌っていた。


「でも、最近になって、やっと分かったんです。

はじめて母に反抗して、母から離れて、……パレスで、十郎さん達と出会ってから……」
 

新しい環境というのは、頑固だった私の心を、すっかりと模様替えしてしまった。
 

自分では何も変わっていないつもりなのに、たくさんの事が起こった。


誰かの家にごはんを作りに行くという日課や、歌を強要されたことや、シャワーの水をかけられた等の些細な事件。
 

初対面の男に胸をわし掴みにされたり、電車の中で事故を装って唇を重ねられた重大事件など……。


「まあ、私が何を言いたいかっていうと………荒療治、みたいな」


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