“俺様”大家の王国
不意に、指輪がきらりとなった。
(なんだか……現実じゃないみたい)
むにっと、頬をつねってみる。痛い。
でも、夢の中でも痛い事はあるので、その行為はあまりあてにならない。
空は、ようやく晴れてきたみたいだった。
冬の夜明け特有の、弱弱しい朝の光が、窓からじんわりと差し込んで来る。
さっきまでは、冷静になりたくてもなれなかったが、時間の経過と共に私もだんだん落ち着いてきた。
(呼吸の音とか、誰かの体温が、こんなにも近くに感じるのって、なんか変……)
だけど、不思議と嫌ではなかった。
そして、警戒心や下心抜きに、このぬくもりに体を預けてみようという気になった。
(寝よう……)
ふと、良い夢が見られるといいな、なんて柄にもない願いが浮かんで、笑ってしまった。