“俺様”大家の王国
十二月


 
休みが明けて学校へ行くと、早速何人かの女の子に、指輪を発見された。

皆、案外目ざとい。


「彼氏、出来たでしょ」


「多分ね」


「あ、なんだその態度は」


「ふふ、内緒」

 
内緒、とは言ってみたものの、本当は指輪を見せびらかしたかったのだった。


今まで、学校へはネックレスくらいしかして行かなかった。


だから、私の新しい装飾品は、随分と人目を引いたに違いない。


「顔、にやけてるよ」


「え、そう?」


「おめでとう!」


「おっちょこちょいな堅物鈍感を落としたのは、誰かしら?」


「え、ちょっ……おっちょこちょいって……私!?」


「他に誰がいるの」
 

女の子達は、私が冗談を言ったと思ったらしく、どっと笑った。



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