“俺様”大家の王国
 


自分の部屋に戻ってからも、動悸が治まらなかった。

もっともそれは、真下にある十郎さんの部屋から、

止まらずにダッシュした所為かもしれなかったけど。
 
しばらく人のいなかった部屋は、冷え切っていた。

電気も点けていないので、薄暗い。

寒い……。


「……っく……」
 

どうしてだか、涙が出て来た。

どんどん溢れて、止まらなくなった。
 
私は、玄関先に座り込んだまま、泣きだしてしまった。


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