“俺様”大家の王国
飲み過ぎてタクシー代が心許無いから貸してくれだの、
週刊誌に追われているから助けて欲しいだの……
普段平穏に暮らしている私達にとって、
母は嵐みたいなものだった。
そのくせ、恩知らずという言葉がぴったりなほど、
問題が解決すればあっさり何の未練も無くいなくなってしまう。
しかし、毎度毎度そんな母を追い返そうとする、
私を止めるのは、祖母だった。
私をやんわりと玄関から遠ざけ、
私を刺激しないようにそっと母を家に上げて、
ごはんを作ったり、布団を敷いてやったり……。