“俺様”大家の王国



「本当は?」
 
相手が困る事を承知で、わざと尋ねた。
 
数秒待って、言葉が無いのを確認してから、謝った。

「ごめんなさい。

本当は、どうでもよかったんです、理由なんて……」
 
追いかけて来てくれたこと。
 
それが例え義理だったとしても、嬉しかったから。
 
私は涙を拭って、精一杯笑ってみせた。


暗い部屋で、どこまで伝わるかは分からなかったけど。



< 73 / 534 >

この作品をシェア

pagetop