コスモス
そして、いつしか季節は秋になっていました。
その日、二人は山に紅葉を見にきていました。
赤や黄色に色づいた木々の間を二人は
楽しそうに話しをしながら歩きます。
そんなときふいに少女は言いました。
「明日はね、わたしの誕生日なの」
「そうなの?それはめでたいね」
なにかお祝いをあげたいな。
きつねはそう思って困ってしまいました。
だって、今までひとりぼっちだったきつねは
誰かの誕生日を祝ってあげたことがなかったのです。