あたしだけの王子様
『藍~~~ッ』
あたしは、ヨロめきながら藍の座っている机に向かった。
『・・アンタ、ヨウと喋ってたね』
藍は雑誌を目に通しながらあたしに喋りかける。
ちょっとはこっち見よーぜ??
『え・・。あ、うん。
なんか、名前聞かれた』
でも、それだけだし、喋ったうちには入らないと思うなあ。
すると、藍は目線を雑誌からあたしに移し変えて
『・・頑張れ?』とだけ言って再び雑誌を見出してしまった。
『頑張れ』の意味がイマイチよく分からなかったけど、まあ頑張るッ!!
そしたら、いい具合に本鈴が鳴り出した。
『―――・・つまり、このxにはyの・・・・』
ただ今数学の途中。
ワケが分からない。
仕方がない、隣の奴と喋ろう・・・。
と思って見てみると、右隣の席の『日下 拓哉』は少しいびきをかきながら夢の中で楽しくやっているみたいだ。
・・拓哉、なんで今日に限って寝てんの?!
いつもは拓哉と喋ってるから授業中は楽しいけど、拓哉寝ちゃってるし・・。
『はあ・・ヒマ』
そう呟いた時だ、
『・・じゃあ、俺と喋る?』
後ろから、佐伯楊が喋りかけてきた・・・。