Stand by・・・
「ちょっ、それまだ読んでなかったんだぞ」

「あ、ごめんねー。お先に」

「お先に、じゃなくてさ、気が散るんだって」

「だって、暇なんだもん」


宙に浮いていたマンガが、ポイッと床に投げ捨てられた。

コイツ・・・絶対ワガママだ。


「じゃなんか話そうよ」

「アホか!こっちは電話するんだぞ」

「いいじゃん。じゃ、ちょっと休憩しよ」


・・・どれだけ強引な話の振り方なんだろう。


「ちょっと聞きたかったんだけどさ、本物の刹那さんて子のこと」

「・・・あのな、幽霊に恋愛相談する気はねぇかんな」

「幽霊ってバカにしないでよね。恋愛経験なら、多分私の方が豊富だよ?それに君さ、あんまりこういうこと人に相談とかしないでしょ?意地っ張りみたいだからねー」

「・・・そっちはかわいくないってよく言われるだろ」

「あはは。言われる言われる」


刹那は、言葉の返し方一つにしても、大人っぽさを感じる。

もしかしたら、結構年上なのかもな。


「何、それで、どこで知り合ったの?刹那ちゃんとは」


心の中で、コイツを相談相手として認めている自分が、何とも言えず不愉快だ。

刹那が察している通り、おれは自分の恋愛相談はほとんどしない。

だけど・・・たまには話してみるのもいいかもしれない。


「初めて告白したのは、高校二年の終わりだったかな」



おれはゆっくりと話し始めた。



< 24 / 53 >

この作品をシェア

pagetop