Stand by・・・
高校三年になり、刹那と違うクラスになっても、彼女への気持ちは消えなかった。

消そうとしても、廊下ですれ違ったり、笑顔を見たりしていたら、胸がギュッと締め付けられてしまう。

この感情から逃れる術はなく、受け入れるしか方法はなかった。



おれは卒業を控えた高校三年の終わり、またも告白した。

今度は、あの土手道の、桜の木の下で・・・


(目を反らすな)


自分に言い聞かせながら、今度はハッキリと刹那の目をまっすぐ見た。

刹那は困ったようにうつむいた。

時間の流れる早さが、気が遠くなるほど長く感じた。









やがて顔を上げた刹那は、覚悟を決めたように声を吐き出した。


「前も言った通り。ゴメンね。柊君のことは・・・」




それっきりで卒業を迎え、おれと刹那の進む道は分かれていった。





おれは受けた全ての大学に滑り、浪人することに。

刹那は、名前までは知ることができなかったが、国立の大学へ進学したらしい。
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