Stand by・・・
「ねぇ、柊」

刹那が、おれの名を呼んだ。

その声。

なんだかやけに懐かしく聞こえる。


「私、もうだめなんだよね?」

「だめなわけねぇだろ。死なせてたまるかよ」


おれはアクセルを踏む力を強める。

今なら信号無視だって余裕でできそうだ。


「柊、今のうちに伝えたいことがあるんだ」

「今あんましゃべんなよ」

「明日さ、柊の誕生日でしょ?そのプレゼント買いに行ってたんだ」

おれは思わず助手席に目をやった。

車をぶっ飛ばしている最中と気付いて、慌てて視線を戻す。



刹那が・・・おれの誕生日、覚えててくれたのか?
< 38 / 53 >

この作品をシェア

pagetop