夢月
「片山さんだね?今日から宜しくね」「はい。宜しくお願いします。」今日からあたしの担任になる池田先生。まだ、若い。前の学校の担任は最悪だった…嫌いだ。この担任はどうだろう?
「如月ちゃんは、私と一緒に行きましょうね」如月は女の先生について先に行ってしまった。「そうしたら、片山さんも教室に行こうか?4年2組になるからね」「はい」
憂うつってこの事だ。

「今日は転校生が来てます。紹介しますので。片山さん入って。」はぁ。辛い… あたしは、教室のドアを開ける。

皆の視線が痛い。ちびって思われてるかな?いきなり、嫌われてないかな…いろいろな心配が込み上げる。
「じゃあ、自己紹介してくれる?」「はい。片山美月です。皆さん、宜しくお願いします」当たり障りはないだろう。

「皆、仲良くするようにな。えっと、席は本間兄妹の隣な。本間兄!ちゃんと、教科書とか見せてやるようにな。」「あ?教科書ない」「お前…。まぁ、いつもの事だしな。」 本間兄妹?本間兄?双子? 「先生。愛利が見せるから大丈夫です」「そうだな。たのむぞ」 「は~い」 元気な女の子とすごい無愛想な男の子。最初の印象だった。
「片山さん。あそこの席に行って下さい。」「宜しくね。美月ちゃん」 「うん。宜しくね。」 元気な女の子だな。あたしとは、違う…

「教科書。ないんだろ?」いきなり、隣から教科書が差し出された。「あ…ありがとう。」戸惑った。

この男の子は、意外と優しいのかも知れない…。
「美月って名前だっけ?可愛い名前だな。愛利…隣のうるさい妹と仲良くしてくれな」 この男の子、すごい優しいんだ。うらやましい気持ちになった。愛利ちゃん。お兄ちゃんに愛されてる。
あたしにも、兄が欲しかった。

「じゃあ、国語の授業始めます。教科書開いて~」

授業が始まった。
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