げんせんかんにっき
森
ある日君は、森の中を歩いていました。
そこは鳥のさえずりや川の流れる音が聞こえる、暗い森でした。
※
※
※
「♪~」
「あ、ちょうちょ」
「♪~…」
※
※
※
森の奥の暗い暗いところまで来てしまった君は、
近くにあった大きな木の下に座りました。
するとそこに 青い女の子 がやってきました。
※
※
※
君「おはよう」
青「空がきれいな日はね、月が緑にみえるの」
君「空なんて見えないじゃない」
青「わたしには見えるよ。なんてきれいな空かしら」
君「ふうん」
青「ねえ、あの空に飛行機がとんでる」
君「だから空なんて見えないよ」
青「あなた阿呆ね」
君「そうかもしれない」
青「やーい阿呆 阿呆」
君「…」
青「ねえ阿呆さん、あの空にあるたくさんの星が見える? うふふ。見えないでしょう。うふふ」
君「阿呆じゃないもん」
青「阿呆だもん。だってあのきれいな空が見えないんだもん」
君「…うるさいな」
青「怒った? うふふ…やっぱり阿呆ね」
君「………」
※
※
※
森のもっと奥ふかく
空がまあるく見える場所
鳥のさえずり
川の流れる音
しぃんとした音
青い女の子は赤くなって
川の水を頭からのんでいる
裸足の君はうれしそうに
森のもっともっと奥ふかくへと
かけていきました。
「空、見えたね」