げんせんかんにっき
 
 
 
君「あ、あの……」
 
お婆さん「なんなんですか?ちょっとほんと急いでるんですけど!」
 
君「えーと えーと」
 
お婆さん「いい加減にしてください!なんなんですか!私急いでいるって言ってるでしょ?」
 
 
お婆さんはまだ踏切の中です。
 
 
君「あー…その」
 
お婆さん「もう!行きますからね!」
 
君「ちょっと待ってください!」
 
お婆さん「…え?」
 
君「あと少ししたら面白いものが見れるんですが……いや…見れないか……」
 
お婆さん「はあ?しらないです!もう行きます!それじゃ!」
 
君「あ」
 
 
雨が止みました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ガタン ガタン ガタン
 
 
 
 
ガタンガタンガタンガタン
 
 
 
ガタン ゴトン ガタン ゴトン
 
 
ガタンゴトンガタンゴトンガタン
 
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン
 
 
 
お婆さん「…あ!?」
 
 
 
 
 
べしゃっ!!!
 
と真横に吹っ飛んで、お婆さんは電車に轢き殺されてしまいました。
 
 
ガタン ガタン ガタン ……
 
 
 
カンカンカンカンカンカン…
踏切の警告音が今になって鳴りだしました。
 
血塗れの踏切があがります。
 
 
雨が止んで、傘はもういりませんでした。
血の水溜まりができた踏切が
僕達の前にありました。
 
それを見て君が
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「 に い っ 」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
と、そんなふうに笑うので
 
 
僕はそっちを見ないようにしておきました。
少しだけ 怖かった ので。
 
 
< 20 / 22 >

この作品をシェア

pagetop