げんせんかんにっき

ある日

 
 
ある日君は突然部屋から出ていってしまいました。
そのあまりの唐突さに僕はほとんど反応できずに、ただ口を開けてドアを見ていました。
 
 
何故君は
 
 
僕は考えました。
昨日は何もありません。
一昨日も雨がふっただけでした。
 
では何故今日が曇天で、君は外へと出ていったのでしょう。
 
考えました。
台の上には君のコップがひとつ。
中に水が半分ほど。
君が座っていた場所からみて前の方向に2cmほど動かした跡があります。
 
君に見えたものが、なんだか僕には見えないような気がしました。
 
悩みました。
ドアはきちんと閉じていました。
鍵もかかっています。
ということは君は鍵を持ってでかけたということです。
 
 
一時になりました。
 
 
ドアはきちんと閉じていました。
でも今は少し開いています。
 
 
ああ、そうか
 
 
君が覗いていました。
僕は悩むのをやめ、君を招き入れました。
君は入ってきましたが その近くを一匹の蝶が飛んでいました。
 
ある日のことでした。
 
 
< 7 / 22 >

この作品をシェア

pagetop