げんせんかんにっき

病院

 
 
そこは胃液と血液の匂いがよくにあう白い病院でした。
 
今日はお見舞いの日です。
僕と君は目当ての147号室につきました。
 
軽くノックをして、中に入ります。
 
六つぐらいのベッドがあって、お客さんは三人だけでした。
ドアに一番近いじいさんのベッドの前まで行って
君は変なボタンのようなものを五十回押します。
じいさんは目を白黒させます。
 
 
次は寝ているばあさんのベッドの側に行って
ひっくり返してそこに並んで僕と君とが座りました。
ばあさんは泡を吹いていました。
 
一番奥のじいさんががたがた震えながら君を見ています。
 
僕はそのじいさんを窓まで連れて行き、首をつかんで宙ぶらりんにしました。
じいさんは死にました。
 
 
慌ただしく看護婦さんが2、3人入ってきました。
何か言いたいようでした。
 
当然君はそこにあった献血のやつを投げて
看護婦さんを真っ赤にします。 
 
僕達のお見舞いは終わりました。
 
 
部屋を出ると、君がエタノールで両手をきれいにしているところでした。
 
 
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