芸能人のカレシ
玄関まで行こうとしたけれど、動きを止める。

ママは誰かと話しているようだった。
お客さん……?

ママはたまに人を招くことがある。

いつもは事前に知らせてくれるのに……。
そういえば、誰かを連れて来たいって言ってたかも。


どうしよう…。

すっぴんだし、部屋着で鉢合わせするのは恥ずかしい。相手にも失礼だよな。

しかし、この部屋を出れば鉢合わせすることは必然だった。ママがこの部屋に招くことも必然。

諦めるしかない。


「優季?」

リビングに入ってきたママは私の姿を探す。

「うん」

ベランダから小さく顔を出して、ここにいることを示す。

諦めるしかないと思いつつも、ベランダに出てしまった。

「そんなところで何をしてるの?」

「えーと、夜景?」

私は首を傾げる。
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