芸能人のカレシ
賑やかな昼休み。

「優季、優季、優季!!」

智香が慌ただしく近付いてくる。

ママが作ってくれたお弁当をつついていた私は動きを止める。

「何回も連呼しなくても分かるよ」

「ごめん!それよりさ、500円貸して?昼ごはん食べる金がない〜」

手のひらを差し出して、ニコニコしている智香。

「カツアゲかよ」

私は渋々財布を取り出す。
ネコのキャラクター物のお気に入り。

「私も今月ピンチなんだからね!」

500円玉を乗せる。

「ありがと、明日ぜったい返すから!」

智香はきっちり守ってくれる子だから大丈夫だ。

「売り切れる〜」と騒ぎながら、彼女は教室から消えた。

「嵐が去った……」
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