DESTINY-忘れられない人-
本命の彼女には気を遣うから疲れるんだって言ってくれた。
私といると楽だって言ってくれた。
そんな言葉を信じて、ただ耐えていた。
ちっとも幸せじゃなかった。
でも、別れるなんてできなかった。
そんな私があの日、突然家を飛び出して、別れを告げた。
アイツは目を白黒させて驚いていたっけ。
『2番目で満足してただろ』なんて最低な言葉をもらって、つくづく別れて良かったと思った。
でも甘かった。
男なんていくらでも寄ってくるけど、私の心を動かすような男はひとりもいなかった。
唯一いたとしたら、誠人かな。
でも、誠人は単に顔が好みだっただけ。
直に運命の相手がいたように、私にもいるのかな……
過去の私が言う。
『あんたにはいない』
『あんたは幸せになれない』