DESTINY-忘れられない人-
「あんた、狙ってんの?」
私は頬を赤らめる理恵子に向かって冷めた声で聞いた。
「ううん。私なんか相手にしてくれないよ。すごい人だから」
その人に会いたいと思った。
会えば、何か変わりそうな気がした。
何か、楽しい未来が待っているような……
ドキドキした。
胸が。
退屈な毎日から抜け出せる気がした。
嫌いな自分を、変えてくれるんじゃないかって。
写真は、ライブの後に撮ったものらしい。
4人組のバンドのベース担当。
名前は、美喜夫。
「変な名前」
私がそう言うと、理恵子はニヤっと笑った。
「会ったらそんなこと言えなくなるよ」
自信満々に言う理恵子の顔を見て、私は胸を躍らせた。