DESTINY-忘れられない人-
先生との出会い
何年前だろう。
もうずいぶん昔だけど……
◆◆◆◆◆
トントン……
散らかった部屋の中でひとりで自分を責めていた。
「奈美、ちょっと出てらっしゃい」
お母さんに呼ばれ、珍しく私はすぐにドアを開けた。
「何?」
顔を上げた私の前にいたのは、見知らぬ男性。
スーツ姿のその男は、私と目が合うなり、にこっと微笑んだ。
何だよ。
あんた誰。
そう言いたいのに、それを言わせないような笑顔。
「初めまして。直さんの高校の教師の、新垣と言います。夜分にすみません」
教師?
ふ~ん。
直の教師が私に何の用?