守ってあげたい 〜伝染〜
貴子の言葉にようやく晶は軽い笑みを返した。

再び二階の自分の部屋に戻り、携帯を見つめる。
気が付かなかったがタクヤから数件のメールが入っていた。

受信時間を見ると自分が真左人の車に乗っていた時のもある。
それを見て少なからず晶は安堵の息を漏らした。

もしかしたら今日会った人物は真左人では無く名前を偽ったタクヤだったのではないか?という疑念がふつふつと沸き起こっていたのだ。

しかしメールの受信時間、内容を見る限りそれは杞憂だった。
あれがもしタクヤかもしれないという思いがぬぐえなかったら本当に誰を信じれば良いのか人間不信に陥りそうだったからである。

晶は助手席で車を運転する真左人を見ていたが一度たりとも携帯を触ったりはしていなかった。
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