守ってあげたい 〜伝染〜
「分かった、じゃあ本当に帰るぞ。何かあったら電話するから病院だけど携帯の電源は音消して入れておけ」

安心した顔で手を振り出て行く拓海を横になったまま見送る。
あの二人は一緒に帰っていったい何を話すんだろうと思うと、少しおかしくなった。

(思い過ごしだよね……隼人が私を殺そうとするなんてある分けないもん)

そう思い込む事にする。
しかし無理に言い聞かせているような気がしてならない。

目を閉じれば事故の瞬間がフラッシュバックして蘇り、宙を舞った感触が今も体に残っていた。

考えれば考えるほど答えが出ない。そう言えば病室での隼人は何処か落ち着きが無かったような気がする。

何時もはあっさりしていて、自分が風邪で寝込んだ時も見舞いには来てくれるがバンドの練習があるとかで、さっさと帰るのに、今夜はやけに残ろうとした。


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