守ってあげたい 〜伝染〜
今思い出しただけでも拓海は怒りに体が震えた。
目からの出血は既に止まっているがもう右眼には何も映らない。当然の報いだろう。

しかし、あの男だけは何度殺しても飽き足りない。
今すぐ海底から引きずり上げて滅多刺しにしてやりたい。

よりにもよって晶を暴行しようとは……

あの男の本性を見抜けなかった自分に甘さがあったといえばそれまでだが、男が晶に襲い掛かった時は目の前が真っ暗になる気がした。

晶よ逃げてくれ……ただそうやって祈る事しか出来ない。いよいよの時は救出に向うつもりだったが、それは自分が真左人であると白状する事でもあった。

幸いにも晶は逃げる事が出来た。しかし妹の心についた深い傷は一生消えることは無いだろう。

当然、生かしておく事は出来ない。自分は晶を守る為だけに存在するのだ。


< 215 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop