守ってあげたい 〜伝染〜

相手の大学生は大腿骨骨折や内蔵破裂の重傷を負ったが幸い一命は取りとめた。

真澄の母、良枝は当然の如く成一の会社に出向き、責められるのは事故を起こした夫の成一である。
でも無理な勤務が原因の一つでもあるんじゃないか？誠意ある行動を見せてくれ……と迫った。

勿論警察にもその旨は話したし、警察も成一の会社を調べたが勤務表が改ざんされていたのだ。

たしかに夫は朝から深夜、明け方迄働かされていた、と良枝が訴えても会社は

「ご主人は通常勤務しかしていませんよ、どこかで女でも作って、それで寝不足になったんじゃないですか？」

と嘲笑したのだ。

失意の内に成一は事故の怪我が元であっけなくこの世を去った。

　成一の生命保険や車の損害保険で被害者には十分な保障は出来たが真相は闇に葬り去られたのだ。