Damask Rose [短編集]
「うっ…ふ……」
泣かせたかったわけじゃないのに。
「ごめん」
柚の頭にそっと触れて、それから同じようにそっと体を抱き寄せた。
「こわ…かった」
涙を含んだ声色で柚がゆっくり話し出す。
「ずっと、壱…也の、こと…呼んで、た…」
「遅くなってごめん」
柚が腕の中で必死に頭を振った。
「来て、くれたから…それで良いの」
その笑顔は反則です、柚さん。
***+α***
幼なじみって時々辛い。