Damask Rose [短編集]
告白とアイツ
「壱也?」
「あ、何でもない」
怪しい!
今明らかに白い封筒を隠した。
…私見たんだから!
「ほら、柚歩けー。遅刻する」
ん〜聞くに聞けないよ。
何、隠したんだろう?
「ラブレターでしょ。恋文よ!告白文章」
「そんなに表現変えなくっても分かるもん」
美砂ちゃんは何だか楽しそう。
人事だと思って…!
「私が聞いてあげよっか?」
ぐっと美砂ちゃんが私に近付く。
「い、いいよ…。聞いちゃダメ」
言いたくないことなら無理に言わせたくないし、それに聞いてほしいなら昔からちゃんと壱也は言ってくれてるから。
「あっ、噂をすればなんとやら。本人だよ」
後ろのドアから壱也が入ってきて、私たちを見てからこっちへ歩き出した。
「ごめん柚、今日ちょっと遅くなるかも…放課後先帰る?」
「…待ってる。だって予定とかないし」
チクリと胸が痛んだ。
ねぇ、壱也
遅くなるのはあの白い封筒と何か関係があるの?
なんて聞けないよ…。
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