Damask Rose [短編集]


「あの、大丈夫ですか?」


「谷宮、柚さんですよね?」


質問の答えの代わりに向こうから質問が来た。


「はい」


答えた瞬間、その子がぎゅっと唇を噛み締めた。


「何で、何で…ただの幼なじみのあなたが隣にずっといるから!だから…」


始めは何のことか理解するのに時間がかかった。


「壱也君の気持ち、弄ばないで!当たり前のように…隣に立たないでよ」


ドクンと心臓が音を立てた。


少し息が苦しくなる。


そんな風に壱也の負担になっていたなんて、考えたこと…なかった。


「私は…」


何て言ったらいい?
言葉が続かない…。






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