Damask Rose [短編集]
嘘つきとフタリ
夜ご飯を食べ終わって、それから壱也の部屋にお邪魔した。
何をするわけでもなく私はただ壱也の隣に座っていて、その横で壱也は読みかけの小説に目を向けている。
ちょっと、退屈…。
いつもとは違って、普段かけない眼鏡をしている壱也の横顔を、しばらく見つめる。
何分たったら気付くだろう?
と内心ハラハラしながら待つ。
「柚、寂しいの?かまって欲しいなら言えばいいのに」
何分なんて待つこともなく、壱也は数秒で直ぐに私の視線に気付いた。
「かまっ…てとかじゃないよ」
恥ずかしいから、うんと素直に頷けない。
「嘘つきにはお仕置き」
「わっ…」
ドンと床に背中から倒されたけど、頭は打たないように壱也が手のひらで覆ってくれていた。
「ちか…い」
鼻と鼻が触れるギリギリまで近付いて、壱也は意地悪く笑う。
「柚ちん、降参?」
「……うん」
「よく出来ました」
ニコッと笑って壱也が覆い被さるようにキスをした。
体が暖かくなる。
好きが体の奥から溢れて来る。
「好きだよ」
だけど壱也に先を越されて、言いたかった言葉を言われちゃった。
***+α***
この体勢いろいろヤバいな… ←