Damask Rose [短編集]
甘味とアイツ
何だか頭がクラクラする。
さっき食べたアルコール入りのチョコレートが原因かな?
近くにあるチョコレートの箱を眺める。
フランス産の赤ワイン使用と堂々とした文字でかかれていた。
たかがチョコレートなのに…。
「柚、あんた顔真っ赤じゃない」
そう言って心配そうに顔を覗き込んで来たのは、同じクラスの美砂ちゃんだ。
休日の今日は美砂ちゃんが私の家に遊びに来ていた。
チョコレートは美砂ちゃんからのお土産品だった。
「なーんか、頭クラクラする」
「酔っちゃった?」
「んーふふっ」
もう全てが楽しくって、何だか気持ちが良い。
何て思っていたら、部屋の扉が開いた。
「何してんの…俺お邪魔?」
「誤解しないで!壱也君」
私は美砂ちゃんにぎゅっとしがみつくように抱きついていた。
そんな私を何とか引き離しながら美砂ちゃんは言う。
「ちょうど良い所に来たわね。壱也君あと任せるね。私これから練習なの」
「おー、任せろ」
「柚ね、たぶんこれで酔っちゃってる」
壱也の前でアルコール入りチョコレートの箱をブラブラと振った。
「じゃっ、また明日」
「美砂ちゃんバイバーイ」
手を振ったあと、私は近くにいた壱也をターゲットに選んだ。
「あれー、壱也がいる。ふふっ…いーちー」
そう言って私は壱也の首に手を回した。
「はぁ…こうゆーの俺だけにしてね」
壱也に体を支えられながら、私は直ぐに眠りについた。
***+α***
(柚はアルコール類禁止!それから、男がいる所で絶対飲まないこと)
……私何したの?あー頭痛い…
(あっ、でも俺の前では飲んで良し!今すぐ、いつでもどうぞ)
何だか壱也さん、ニヤニヤしてませんか?