恋愛みち

6.憧れと死

はじめてだった。
男子ではなく、男性を知ったのは。
二十歳になる男の人と知り合うのは、正直ドキドキした。

同級生が出るライブを見に行ったとき、雅さんに出会った。
中学生の私達が珍しいのか話かけてくれ、ご飯をご馳走してもらった。

夏休みの出来事だった。その日から友達と塾帰りに雅さんに電話をしては、ドライブに連れて行ってもらった。

出会って10日後だった。
携帯電話なんて持ってはいなくて、自宅に電話した。
雅さんのお母さんがでた。
「いません」
あれ??おかしいな。いるはずなのに。。
友達と替わり、私がかけた。
「雅の友達ですか?」
「雅ね、死んじゃったの・・・」
耳を疑った。
泣きながらお母さんが話す。
「明日、お葬式に来てください」
電話を切った。

信じられず、でも噓をつくはずもなく、友達4人で泣きじゃくった。
ダンプカーと正面衝突だった。
お葬式は大勢の人だった。
セーラー服を着ている私達4人は、異様だった。
雅さんが死んじゃった。
最後の顔は、事故の傷でひどかった。
涙が止まらない。
雅さんの友達が出会った時、10日前のライブビデオをくれた。

あれから15年。
雅さんより大分歳もとった。
当時の友達とは連絡をとっていない。
卒業後、誰一人、雅さんの話はしなかった。
忘れたの??

初めての憧れと死は、まだ私の中に残っている。


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