ミラクル☆レイナ
「…あ、えっと……なら、この本は読んだ事ある?」

「あ……、多分、無いと思う……どんな内容なの?」

「…えっと……舞台がひまわりの家っていう養護施設なんだけど、子供の頃にその養護施設で出会った男女が大きくなって、色々な事に葛藤しながら、成長していくっていう青春群像劇なんだけど……」

私がそう言うと、白河さんは、今まで見せた事の無いような満面の笑顔で言った

「面白そう!私、それ読みたい!」

正直、嬉しかった

私が本を勧めた事によって、こんなに笑顔になってくれる人がいるなんて―――…

私は、何だか照れくさくて、咄嗟に白河さんから目をそらして問い掛けた

「…あっ、他にも何か読む?……それとも、その1冊だけで大丈夫?」

「あっ、ならもう1冊だけ!」

白河さんがそう言ってくれたので、私は再度、白河さんに気に入ってもらえそうな本を探し始めた

そんな私に、白河さんは静かに語りかけてきた

「ねぇ、三和子ちゃん……、……レイナちゃんって……その……凄く良い子だよね……。……あれだけ可愛くて、明るくて……勉強もスポーツも何でも出来る人気者なのに……私みたいな地味な人間にも分け隔てなく接してくれて……」

そう言って、白河さんは嬉しそうに笑った


私は、そんな白河さんに、笑顔で「…うん」とだけ返事をした


1番の友達であるレイナちゃんが、他の人に誉められたのが素直に嬉しかった



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