幸せ
「亜矢?智也くんいるぞぉ」
「う・・・うん・・・」
「あ、亮も裕樹くんもいる」

あ・・・智也と目が合った。
また、目を反らした。

「亜矢・・・」
「え・・・」

智也が、こっちに来る。

「ちょっと亜矢借りるぞ」
「え・・・ちょっと待っ・・・」
「行ってらっしゃい」

アタシたちは麻美と千夏に見送られて、学校を出た。

「智也・・・?」
「ん?どーした」
「どこ行くの?」
「内緒・・・ほら、乗れよ」

アタシの体が宙に浮いた。
アタシは、智也の自転車の後ろに降ろされた。

「しっかり掴まれよ」
「え・・・」

智也は自転車をこぎ出した。

風が気持ち良かった。

「到着」
「ここ、智也の家?」
「あぁ。ほら、来いよ」
「え・・・お邪魔・・・します」

智也に案内されて、アタシは智也の部屋に入った。

沢山のCDの山に、雑誌の山。

黒い壁や床に、黒いベット。

すごく男っぽい部屋だった。

「亜矢・・・俺、亜矢のことが好きだ」
「え・・・」

突然の告白に、アタシは戸惑った。

「付き合ってくれ・・・」
「え・・・」

別に、ダメじゃない。
なのにアタシは、必死で言葉を探した。

「やっぱ、ダメか・・・」
「ううん!ダメじゃない!」

言葉が勝手に口に出た。

「え?本当か?」
「う・・・うん・・・」
「よっしゃ!!」

智也は喜んでくれた。

その時の笑顔は、今でも覚えてるよ・・・
やんちゃで、可愛いその笑顔を。

「亜矢・・・好きだ・・・」
「アタシもだよ・・・」
「キスしても大丈夫?」

智也・・・
あなたの優しさを、アタシは絶対に忘れません。

「うん・・・大丈夫・・・」
「ありがとな」
「・・・ん・・・」

智也との、二度目のキス。
この前とは違う感じがした。

「亜矢・・・いいか・・・?」
「・・・うん・・・」
「優しくするからな」
「・・・分かった・・・」

アタシは、智也と一つになった。

「痛かっただろ・・・」
「・・・うん、ちょっと・・・」
「俺が幸せにしてやるからな」
「ありがと」

アタシは智也と一つになれて嬉しかった。
< 5 / 11 >

この作品をシェア

pagetop