母の心音(こころね)
「末娘が東京へ経つ一日前やった。鳥羽発の夜行列車で行くんや。長女の家に一泊して行くんや。仕事があったけど付いて行ったんや。次の日はそりゃ暖かい日でな。家から出るのは久しぶりやった。二人の娘と二人の孫に取り囲まれて、そりゃ天にも登る気持ちやった、賑やかでな。夜寝るのも勿体無かったわ。久しぶりに笑ったな。次の日の午前中に潮干狩に連れてってもろたんや、生まれて初めてや。孫の後を追いかけるのがやっとや。この時ばかりはすっかり忘れたわ、それはそれは楽しかった、本当に楽しかった」
暖かな
春の日差しを浴びながら
娘や孫と潮干狩する
暖かな
春の日差しを浴びながら
娘や孫と潮干狩する