幼なじみの彼と彼女〜大人編〜
「ふーん、人妻かあ」

全日本ロードレース開幕戦。

金曜のスポーツ走行が終わってから俺は光さんと食事に出掛けた。

「お前、本当に危険な恋をするなあ…」

苦笑いをする光さんは続けて

「相手の旦那に見つかったら、殺されるで」

「…まあ、旦那も問題のある人みたいだから」

まだ、あまり詳しくは雪野の事は知らないから強くは言えないけど。

「頼むから、そろそろまともな恋愛もしてくれよ」

みんな、お前の事を『野獣』って呼んでるから。

光さんはため息まじりに息を吐いた。



それは知っている。



馬鹿にされている事も。



でも、俺は。

人を愛する事を、遠い昔に忘れた人間だから。

そんな奴がまともな恋愛が出来る訳、ない。
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