幼なじみの彼と彼女〜大人編〜
「…翔、ごめん」

9時半って。

翔に夕食を食べさせていない。

「何、今度は何?」

祥ちゃんはぶつかった額を痛そうに触りながら私に聞く。

「翔にまだ…夕食を食べさせていない」

私はゆっくりと体を起こした。

「ええ?お腹空いてない?」

祥ちゃんは翔を抱き寄せる。

「さっき、ママのかばんからおかし…」

翔は開いた菓子袋を見つめて笑っていた。

「梓、何か食べに行く?
動けなかったら、俺が何か買ってくるよ」

祥ちゃんはそう言って立ち上がる。



結局、動けないので。

祥ちゃんが買い出しに行ってくれた。
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