全国民模様制度
【全国民模様制度】
ある朝、顔を洗って鏡の前の自分と対面すると、俺の顔がパンダ模様になっていた。
「何じゃこりゃあ!」
と、叫んでみても仕方が無い。
目の周りは黒く縁取られ、慌てて脱ぎ捨てた服の下も……見事なまでに白黒になってしまっていたのだから。
それもご丁寧に全身の皮膚がきっちりと毛に覆われている有様だ。
尻尾が無いだけ幸いなのか、かろうじてそんな疑問符で冷静さを保ちながらも……これは一体どういう事なのか。
会社ではバリバリと仕事をこなす営業マンな俺。その俺がパンダ柄とは……何とも情けない事この上無い。
こんな体で仕事になんか行けるか。
心の中でそう悪態をつきつつも、今日は大事な会議の日でもある。
「休む訳には行かない……か」
スーツを着ると、不釣合いなマスクとニット帽で出来る限り顔を隠しながら、恐る恐る玄関の扉を開いた。
そこには……。