全国民模様制度
目の前には堂々と歩くケバイ豹柄の女。
そして向かいからやって来るキリン模様の優しそうな顔をした男。
もちろん服ではない。
俺と同じ、体に模様を刻まれたまま、極当たり前のように歩いているのだ。
何度か目をこすってみたものの、どうやらこれは現実らしい。
「どうなってるんだ?」
電車も街も動物だらけ。不思議な事にそれぞれの特徴を得ているから偉いものである。
いや、だとしたら……俺はどうしてパンダなんだ?
こんなに一生懸命働いて、仕事も評価されているって言うのに、あの動物園の怠け者と一緒じゃあんまりではないか。
もちろん人気はあるのかもしれないが……。
ようやくオフィスに辿り着くと、純朴そうな猪柄をした受付嬢のエリちゃんを見つけ声をかける。
「この模様は一体何なんだ?」