・・大切な場所・・
順々に手渡される資料を覗き込む。
「明後日の23・24・25の18時~20時がディナーの時間になる。1日10組限定と言う事で、3日とも予約で埋まっている。その後21時からのBARTIMEは、予約を取らずに空いている席から埋めていく事になるから。回転1時間は、鬼セッティングになるから覚悟するように・・・。」
芳村の話を真剣に聞いていても、那槻の手は緊張で震えていた。
「コース内容については、マネージャーから。」
「はい。コース内容は、前菜・オードブル・スープ・パン・肉料理・デザートの6品。詳しい内容は、手元の資料に書いてあるから、各自良く読んでおくように。」
頭の中が、グルグル回る様な錯覚に陥る。
「那槻・・・」
「ハッ、ハイッ!!」
「今日の営業終了後から、本格的に準備になるけど大丈夫か?学校とか・・・」
芳村が、心配そうに資料を睨む那槻に声を掛ける。
周りを見渡すと、みんなが那槻の心配をしているのが、分かった。
親や恋人が掛ける愛情とは違う愛情を、那槻は感じ取ったのは、言うまでもない。