シロ姫のお城
1章
茶色い髪
キーンコーンカーンコーン…
放課後を告げるチャイムの音は、きっとあたしが世界で1番好きな音。
学校は好きじゃない。
勉強が嫌なんじゃない。
友達がいないからってわけでもなくて。
ただ、40人くらいの同じ格好した生徒が1つの部屋に閉じ込められて全員同じことをしてるって事が、なぁんか気に入らないだけ。
学校を飛び出して向かった先は、家の近くの小さな建物の屋上。
グレーとベージュが混ざったような色をした、使われているのかいないのか分からないような、アパートみたいな建物。
広くはない。
けれど、1人でいるには十分。
ここだけが誰にも邪魔されることのないあたしだけのステージ。
あたしはいつもここで、大好きな歌を好きなだけ歌うの。