--tear--
次の日、
あたしは早めに家を出た。
さすがに遅刻はできない。

教室に入ると梨花がいた。
「おはよ~。」
梨花は笑顔で挨拶してきた。
「おはよ!てゆうか、登校するの早くない?」
「ま~ね、あたし早起き得意なの!」
そう言って、化粧をし始めた。
あたし達の高校は校則が緩い。
だからギャル率も高いと思う。
でもあたしは化粧とかしない。
絶対似合わないし、したこともないから…。

「澪ってさ~彼氏いないの?」
いきなりの質問に少し驚いた。
「え?いないよ。」
「今まではもちろんいたでしょ?」
梨花は手慣れた手つきでマスカラを塗った。
「…いない。」
あたしは少し俯いて言った。
「まじで?!今時彼氏いないとかありえないでしょ?」
梨花は本当に驚いたのか、手に持っていた鏡を落とした。
「でも好きな人とかはいたでしょ?」
「…いない。」
あたしがそう応えると梨花は眼を口をポカンと開けた。
そんなに驚くことかな…。

梨花は気を取り直して口を開いた。
「まじありえない。恋心とかないわけ?」
…恋心。
そう言われるとないのかな。
そもそも恋って何?
付き合うってなんだろう。
あたしにはわかんない。
「好きって気持ちがわかんない。」
あたしはポツリと言った。
「はぁ?何それ。」
「だって付き合うってことがわかんないんだもん。ただ単純に両想いなのが付き合ってるってことなの?」
梨花は少し考えてから言った。
「そんなの恋すればわかるよ。」

…あたしにはやっぱり、恋なんてわかんない。
そう思った。
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