夢をみさせて

遠くで2人の会話を聞きながら。

そして。
でも。

私は思ったよりも
驚きもしませんでした。

なぜなら冷静に考えても
私が彼について
知っていることは

ただ電車の中での
彼であって
そのほかの彼については
なにひとつ
知っていなかったからです。




毎朝同じ車両の電車に
乗って
同じ本を
読んでみたり。

私の知っている彼は
たったそれだけだったのです。


彼の24時間の内の
1時間もないのです。

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