夢をみさせて

私が慌てて視線をそらし
下を向くと

「まさか、あの彼女と
仲良く話してたってだけで
落ち込んでんちゃうやろなあ?」

よくそんな軽く言えたもんだと
内心呆れたのですがそのまま黙っていました。


「あのねぇ、あんたかて男子と話することくらいあるやん。
それで可笑しい話してたら笑うやん?
それだけのことやないの」



それだけ。


そうです。
たったそれだけのことです。


でも「それだけ」のことが
私の心の中に重く影を
落としたのです。

私は彼のほんの一部のことについてしかわかっていなかった、
ということを思い知らされたのです。


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