刹那【短編】
愛 真実
「 ぃ ゃん
に ちゃん
おにいちゃんっっっ!!」
私は後ろから少し細くなったお兄ちゃんの腰に抱きついた。
ゆっくり振り向くお兄ちゃん
お兄ちゃんは驚いたように大きく目を見開かせゆっくりと上半身だけをこっちへ向けた。
「えっ
んで・・・・・・・なんで?
美央がココに居るんだ!?」
久しぶりに見たお兄ちゃんの顔
目が合っただけで顔が熱くなるのを感じ私はまだお兄ちゃんが大好きなんだと気づかされた。
「ごめん
莉華から聞いちゃった・・・・。」
私が少しすまなさそうに目を伏せるとお兄ちゃんは「そっか・・・・───。」とだけ言ってまた窓の外を眺めだした。
「「・・・・・・・・───」」
ブゥーンっっ
私達の間に会話はなく、病室の中は前の国道から聞こえて来るエンジン音しか聞こえない。
長い沈黙。
「ごめんな.......。」
その沈黙を破ったのはお兄ちゃんだった。
「何が?」
「約束・・・・
会いに来るって約束
守ってやれなくて・・・・・・・──。」
あまりにも哀しそうにお兄ちゃんが言うから
あまりにも悔しそうにお兄ちゃんが言うから
だから・・・・・──。
「美・・・・・・央?」
気づけば私はお兄ちゃんを抱きしめていた。